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一人でも雇用したらやらなければならないこと

 

起業して、順調に売り上げが伸びたら次に考えることは、従業員を雇用することです。

従業員を雇用する場合、何が必要になるか、よく確認していただきたいと思います。

 

机と椅子とパソコンを揃え、給料を払えばそれでいいというわけではありません。

 

社会保険と労働保険の適用届

 

社会保険は、 健康保険と厚生年金保険です。健康保険は、病気やケガで病院にかかったときに最大3割の負担で済むようにしてくれるものです。厚生年金保険は、老後や障害を負った場合、亡くなった場合などに保障を受けられるもので、国民年金に上積みされるものです。

社会保険料は 会社(事業主)と従業員の折半になりますので、従業員にとってはありがたい制度、会社にとっては大きな負担となりますが、従業員を雇うということは、それだけの責任が生まれるということです。

 

労働保険は、 労働者災害保険(労災)と雇用保険です。労災保険は、作業中や通勤途中でのケガ、業務に起因する病気などに対して保障してくれるものです。雇用保険は残念ながら退職してしまった場合の失業保険(基本手当など)や育児・介護で休業する場合に給付金を受け取れたりします。

労災保険料は全額事業主負担 雇用保険料は労使折半(二事業分については事業主負担)となっています。

 

社会保険への加入

 

社会保険については、1人でも雇用すれば適用事業所となります。ただし、個人事業主で任意適用の業種は除きます。

法人化した場合は、社長1人しかいない場合でも適用事業所となります。

 

詳しくは>>健康保険の加入要件および厚生年金保険の加入要件をご覧ください。

 

適用事業所となった場合には、5日以内に 「新規適用届」を年金事務所に提出しなくてはなりません。

新規適用届には下記の書類を添付してください。

  • 法人の場合 → 法人(商業)登記簿謄本(コピー不可)、実際の住所が異なるときはそれを証明するもの(賃貸借契約書など)
  • 個人事業主 → 世帯全員の住民票(コピー不可、個人番号記載ないもの)

 

また、従業員の雇用に対しては、 「被保険者資格取得届」5日以内に、提出しなければなりません。また、その従業員に被扶養者がいる場合は、 「被扶養者届」5日以内に提出します(>>健康保険被扶養者(異動)届の添付書類の変更)。

すべての従業員が対象となるわけではありませんので、個別に条件の確認が必要です(4分の3基準など)。

>>健康保険の加入要件

健康保険証は、通常、1週間程度で届きますが、4月など、大量の就職者が出る時期は1か月以上かかる場合もありますので、ご注意ください(健康保険証が届いていない場合に病院にかかった場合、いったん全額お支払いいただき、あとで7割分を還付してもらうことができます)。

健康保険証が届いたら、速やかに従業員にお渡しください。

 

労働保険への加入

 

労災保険・雇用保険は1人でも雇用すれば適用事業所になります。ただし、暫定任意適用事業所は除きます。

社長1人しかいない場合には、法人化しても「常用労働者」がいませんので、適用事業所になりません(労災への特別加入の場合は除く)。

雇用保険に関しては>>雇用保険への加入要件をご覧ください。

 

労災保険の適用事業所となった場合は、10日以内 「保険関係成立届」を労働基準監督署(ハローワークの場合もあり)に提出してください。

雇用保険の適用事業所となった場合は、10日以内 「適用事業所設置届」をハローワークに提出してください。

※添付書類等は、ここでは割愛します。

 

雇用保険の適用事業所設置届と同時に「被保険者資格取得届」を提出してください(1名は対象者がいるはずなので)。

ハローワークから「資格喪失(氏名変更)届」「事業主通知書」「被保険者証」が届きますので、 被保険者証を従業員に渡し、残りは保管しておきましょう。

 

法定三帳簿

 

法定三帳簿とは、労働基準法で定められた、労働者を雇用した事業主が必ず備え付けておかなければならないものです。

違反した場合には、罰則もありますので、ご注意ください。

いずれも 保存期間は最後の手入れから 3年となっています。

労働者名簿と賃金台帳はあわせて調整しても構いません(派遣元管理台帳も可)。

労働者名簿と賃金台帳の様式は決まっていますが、漏れがなければオリジナル様式でも可です。

 

労働者名簿

 

労働者名簿は各事業場ごとに、各労働者について調製し、 変更あれば訂正しなくてはなりません(日々雇い入れられる者は除く)。

記入すべき内容は下記のとおりです。

  1. 氏名
  2. 生年月日
  3. 履歴
  4. 性別
  5. 住所
  6. 従事する業務の種類(30人未満の事業所は不要)
  7. 雇入年月日
  8. 退職年月日とその事由(解雇理由も)
  9. 死亡年月日とその原因

 

賃金台帳

 

賃金台帳は各事業場ごとに調整し、 賃金支払いの都度、遅滞なく記入しなければなりません。

記入すべき内容は下記のとおりです。

  1. 氏名
  2. 性別
  3. 賃金計算期間(日々雇い入れられる者(1か月超は除く)は不要)
  4. 労働日数
  5. 労働時間数(管理監督者等は不要) →始業・終業時刻、休憩時間数は不要
  6. 時間外・休日・深夜労働時間数(時間外・休日については管理監督者等は不要)
  7. 基本給、手当
  8. 賃金の一部を控除した場合はその額

 

出勤簿

 

出勤簿またはタイムカード以外にも、下記のようなものが保存対象となりますので、ご注意ください。

  • 使用者が自ら始業・終業時刻を記録した書類
  • 残業命令書及びその報告書
  • 労働者が記録した労働時間報告書等

 

その他必要なこと

 

上記以外にも、次のようなものも準備しておくといいでしょう。

机・椅子・ロッカー・パソコンなど、当たり前のものも忘れずに。場合によっては、鍵・ゴム印・制服・文房具なども準備する必要があります。

 

雇用契約書、労働条件通知書

 

後々のトラブルを防ぐためにも、雇用契約書を交わしておくといいでしょう。

また、労働基準法で定められている「 労働条件の明示」義務のためにも、労働条件通知書を渡しておくべきです。

>>労働契約を結ぶときの注意事項

 

待遇についてお互いに食い違いがないようにしておけば、入社後の信頼関係は保たれますし、少なくとも待遇に関する不満は減らすことができます。この点をうやむやにすると、事業主にとっても後で損をする結果になる場合があります。

 

36協定届、就業規則など

 

労働者に「時間外・休日労働」をさせる場合には、「36協定」の届出が必要です。

>>時間外労働・休日労働と36協定

「絶対、残業も休日出勤もさせない」というのであれば不要ですが、普通は少しくらいの残業があるでしょうから、届出をしておくべきでしょうね。

 

就業規則は、会社のルールブックとでもいうべきものです。常時10人以上の労働者を使用する場合には届出が義務付けられますが、10人未満であっても作成しておくほうが賢明です。

>>就業規則とは

たとえ就業規則を作らないとしても、始業・終業時刻や休日・休暇・休憩など、最低限のことは決めておかなければなりません。また、賃金をいくらにして昇給をどうするか、賞与を出す基準はどうかなど、賃金規程のベースとなるものは作っておくべきです。

ある程度、労働基準法について学んでおく必要がありますね。

>>労働基準法とは。労働関係の基本法規

 

聞き取りが必要なこと

 

氏名、フリガナ、性別、生年月日、住所、電話番号などは当然のことと思いますが、履歴書がない場合には、忘れずに教えてもらってください。

また、労働社会保険の手続のために、個人番号(マイナンバー)や雇用保険番号を確認しておいてください。ただし、マイナンバーの取り扱いには、十分ご注意ください。

被扶養者(配偶者、子供)の有無も確認してください。

給料振り込みのための口座番号も準備してもらう必要があります。

 

給料支払関係

 

給料の支払いに関しても、ちゃんと決めておきましょう。締め日と支払日、現金なのか振込なのか。

給与明細は、労働基準法では作成義務がありませんが、所得税法では作成及び交付の義務があります。

給与明細には、①勤怠(労働日数、時間外・休日・深夜労働時間)②支給額(基本給、手当)③源泉徴収による控除額(雇用保険料、社会保険料、所得税と住民税など)を記載しましょう。

 

業務マニュアル

 

できれば、業務マニュアルを作成しておくとよいでしょう。

業務マニュアルを作成するのは手間が掛かりますが、下記のようなメリットがあります。

  • 一度説明すれば、新入社員が自分で復習できる
  • 口頭での伝え漏れを防ぐことができる
  • 一度作成すれば、何度でも使える
  • 基礎編の作業体験を短くして、応用編から作業させることができる
  • 伝えていない内容の作業もさせることができる
  • マニュアルを作成することで、自分自身が業務の整理をでき、さらに効率的な作業になる