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賃金規程(賃金表)を作りましょう3

 

基本給についての賃金表が完成したら、最後にそれ以外の事項について決めておきましょう。

なお、 基本給と残業手当以外のものは、法律的に 必ずしも払わなければならないものではありません

 

各種の手当

 

通勤手当

 

通勤手当は、求職者が必ず見るポイントです。 可能であれば、作っておいたほうがいいでしょう。10分以上かけて車で通勤する人にとっては、通勤手当がないと損をした気分になります。まして、公共交通機関で通勤する方には、通勤手当は必須のものと言えます。

 

通勤手当は、その対象者と金額を決めます。

対象者は公共交通機関を使用する人、マイカー通勤の人、自転車や徒歩の人など、通勤手段について支給の有無を決めておきます。また、会社から何km未満の人には不支給、ということも決めておくといいです。

金額は公共交通機関については実費とします。マイカーなどについては通勤経路にしたがって距離を求め、単価をかけるとすると正確ですが、直線距離で計算したり、地域ごとに金額を決めておいたりとしておくほうが面倒がありません。

なお、社員一律に同額の通勤手当を支給するという方法は、給与体系を複雑にしますので、避けたほうがいいでしょう。これは、基本給をなるべく少なくすることで、賞与(基本給×〇か月分)の支給額を抑えるために使えますが、不信感をもたれるだけで、意義が薄いと考えます。

 

家族手当

 

家族手当(扶養手当)もできればあるといいです。扶養家族がいる方にとっては大変ありがたく、得した気分になれるものです。生涯独身と決めている方から見るとないほうがいいのでしょうが、少子高齢化の現在、結婚・出産を後押しする意味でも、会社の責任としてつけてあげるといいと思います。

家族手当は、扶養する家族に対して、配偶者に1~2万円、子供1人あたり5~6千円を目安にします。法律で決められたものではないので、扶養の有無に限らず(配偶者が働いていても)支給するということも可能です。いずれにしろ、その対象範囲は明確にしましょう。

 

残業手当

 

残業手当は 法定労働時間を超えた場合に支払う必要があります。法定労働時間を超える労働には、「割増賃金」が必要です。その部分が残業手当になります。

つまり、残業手当に関しては、残業した分に対して「平均賃金の何割」と決めておけばいいということです。

割増賃金については下記を参照ください。

>>時間外労働・休日労働の場合の割増賃金

 

なお、「固定残業代」という手法があり、毎月一定額を残業がなくても、もしくは残業が少なくても必ず支給するというものがあります。これは労働者から見ると、基本給の一部のようになっています。

固定残業代については、厚生労働省ではあまり推奨されていません。というのは、「いくら残業しても残業代は増えない」ということに使う企業が多かったためです。

そのため、現在、ハローワークで社員募集をする際には、①固定残業代を除いた基本給②固定残業代は何時間分で何割増しか③固定残業分を超えた場合には追加で残業代を支払う旨、を記載しなくてはならなくなっています。

固定残業代=ブラック企業というイメージもありますので、なるべく使用しないことをお勧めします。

 

役職手当

 

係長や課長になった場合、それに相応しい手当をつけてあげることが必要です。

係長になれば、 部下の管理が必要であるし、精神的な負担も増えます。基本給の5%程度としたり、15,000円程度の定額制としたりする方法があります。

課長以上となると、「管理監督者」となることが多く、 残業手当もつかなくなるのでその分を見る必要がありますし、責任も大きくなります。基本給の15%程度であったり、50,000円程度の定額とする場合があります。部長となれば、さらに増額する場合が多いです。

 

その他の手当

 

住宅手当、食事手当、皆勤手当、地域手当、特殊勤務手当、単身赴任手当、調整手当などがあります。

住宅手当はアパート住まいのものだけに出すということが多く不公平感が生まれる場合がありますが、社員一律に出すならば基本給を増やすほうが複雑にならず、見た目もよくなります。

その他、必要に応じて定めをしなくてはなりませんが、どの手当にもはまらない「調整手当」は、賃金体系を混乱させますので、できるだけ避けるほうが賢明です。

 

賞与

 

支給要件と評価の対象期間

 

賞与については、必ず支給しなくてはならないものではありません。しかし、支給することがある場合には、その基準を明確にしておかなくては、社員の不満のもととなります。

これまでは、「正社員にのみ賞与を支給する」という設定が許されていたのですが、働き方改革法案の「同一労働同一賃金ガイドライン」によって、2020年4月(中小の短時間・有期雇用は2021年)からは 非正規であることのみを理由とした「不合理な待遇差」が認められなくなります。これは、賞与についても含まれますので、「正社員のみ」という支給要件は許されなくなります。

しかし、「勤続1年未満の者には支給しない」「支給日当日に在籍している者に限り支給する」などの定めは可能です。

 

また、賞与は業績に連動して支給される場合が一般的であることから、「〇月から〇月までの勤務成績、勤務態度、出勤状況等を勘案する」旨を決めておくべきです。

 

支給日

 

支給日は、基本給と異なり、期日を明確にしなくても構いませんが、幅を持たせて定めをしておくほうが、社員にもわかりやすいのではないでしょうか。また、場合によっては、支給日が変更になる旨の記載があっても構いません。

なお、賞与は、「 業績によっては不支給になる場合がある」旨も明確に記載しておくといいでしょう。

 

退職金

 

退職金制度の定め

 

退職金も法律的に必ず支給しなくてはならないものではありませんが、就業規則に定めをしたら、それに従い支給しなくてはなりません。

退職金に関する定めも賞与も、就業規則の「相対的必要記載事項」になります。

>>就業規則とはを参照ください。

 

定めをする場合には、下記のものが必要になります。

  • 適用される労働者の範囲
  • 退職手当の決定、計算及び支払の方法
  • 支払の時期

退職金の支払の時期は就業規則で会社が決めますので、退職者からの求めに応じて支給日が決まるものではありません。

 

退職金の額の決め方

 

退職金の額の決め方はいくつかの方法があります。会社ごとに綿密なシミュレーションを行なって、理想的な退職金の額になるように、適切な方法を採用することが必要です。

  • 定額制:退職時の基本給に関係なく、勤続年数に応じて額が決まる
  • 基本給連動制:退職時の基本給に勤続年数に応じた支給率を乗じる
  • 別テーブル制:退職時の役職や等級に勤続年数を応じた支給率を乗じる
  • ポイント制:資格や役職に応じて決められたポイントを累積して単価を乗じる