平成20年ごろから開始されている雇用保険・社会保険の電子申請ですが、みなさん利用されていますか?
政府が取りまとめ、各省庁の手続を電子化したサイト「e-Gov」にて、各種保険手続きができて、大変便利なものになっています。
手続関係を自社で行っている方は、是非、利用してください。無駄な作業が減って、本業に集中する時間を増やしましょう。
これも立派な 働き方改革の一つとです。こういう点をひとつひとつ効率化していくことが大事ではないでしょうか。
電子申請はe-Govのページへ
雇用保険の電子申請マニュアルは厚生労働省のページへ
電子申請の利用率
社会保険労務士会では利用を奨励されており、少しずつ社労士の利用率も上がってきているようです。「月刊社労士」に毎回、電子証明書取得の方法が記載され、社労士の都道府県別取得率の一覧も掲載されています。
それによると、全国の社会保険労務士で電子証明書を取得している割合は、2018年12月末で49.8%となっています。石川県はどうかというと、58.3%と割と高い確率ですね。年金事務所やハローワークが、そう不便な位置にあるわけではないことを考えると、よく普及しているほうだと思います。
都道府県名 | 取得率 | 都道府県名 | 取得率 |
---|---|---|---|
北海道 | 47.6% | 愛知 | 47.2% |
東京 | 57.0% | 大阪 | 51.6% |
新潟 | 43.3% | 鳥取 | 35.8% |
富山 | 53.7% | 広島 | 41.4% |
石川 | 58.3% | 福岡 | 54.0% |
福井 | 44.1% | 鹿児島 | 63.6% |
電子申請でできること
たとえば、雇用保険の関係であれば、下記のようなことができます。これは、一部を抜粋しただけなので、かなり多くの手続ができてしまうと考えていいでしょう。
- 被保険者資格取得届
- 被保険者資格喪失届
- 被保険者氏名変更届
- 事業所設置の届出
- 事業所の各種変更の届出
- 受給資格者氏名・住所変更届
- 就業促進手当(再就職手当)の申請
- 高年齢雇用継続基本給付の申請
- 育児休業給付(育児休業給付金)の申請
労働保険(雇用保険含む)に関しては2020年4月から、 資本金1億円を超える大企業では、下記については義務化される予定です。
- 労働保険の年度更新
- 被保険者資格取得届
- 被保険者資格喪失届
- 転勤届
- 高年齢雇用継続基本給付の申請
- 育児休業給付(育児休業給付金)の申請
社会保険に関してもほとんどの手続が電子申請可能で、2020年には、むしろ電子申請が義務化されることが検討されているようです。
電子申請のメリット
電子申請のメリットは、いくつかあります。
① ハローワークや年金事務所に行く必要がない
往復の時間や待ち時間を省略できるということです。その時間を他の仕事に充てられるのでもっと仕事ができます。
この点、「やっぱり窓口に持っていかないと落ち着かない」という方がいますが、それはワープロが普及し始めたころに「手書きじゃないと落ち着かない」と言っていたのと同じことで、非効率なことにずっとしがみつく意味はない、と言い切ってもいいと思います(すべてが無駄ではないことは承知しますが、割り切らないと先へは進めません)。
郵送であれば同じように行かなくてもいいのですが、封筒を準備し、切手代もかかるし、ポストまで行かないといけないし、と手間がかかります。書類にミスなどがあれば、なおさら面倒です。
法務局への登記申請も電子申請(e-Govではなく、別のシステムで)ができるのですが、こちらは申請書のみを電子化し、添付書類は郵送しなくてはいけないので、あまり簡素化された感じはありません。その点、雇用保険などは添付書類もほとんどないため、非常に便利なシステムになっています。
② 24時間、365日(メンテ中でなければ)申請が可能
申請期限が迫っていても、どうしても行政機関が開いている時間に行けない、という場合に役に立ちます。
郵送だと、届くまでにどうしてもタイムラグが発生します。
③ 様式を準備する必要もなく、手で書く必要もない
様式をもらってきたりダウンロードする手間が省けます。
雇用保険の場合は、ミスを修正できるように鉛筆で書いて提出しますが、電子申請なら手書き不要です。汚い字でも心配ご無用。
社会保険の場合は、パソコンで書いてプリントアウトできますが、間違えていたら修正が必要で、社会保険労務士だったら最悪、事業主のハンコをもらい直し、ということも。電子申請ならそんな心配も不要です。
④ もらう側も楽になる
データで手続きが申請されれば、それを管理する行政機関も楽になります。行政機関が楽になれば、税金も減る、というのが筋でしょう。そうでなくても公務員ですら人がいない人材不足の時代です。みんなで無駄を排除しなくては、社会が回っていきません。
必要な手続
電子申請をするためには2つのことが必要です。
1つは、「 電子証明書」を取得することです。これは、申請書に印鑑を押すようなもので、「電子署名」をする際に必要です。
- 個人であれば、マイナンバーカードとICカードリーダライタがあれば、署名することができます。
- 法人であれば、法務局で電子証明書を発行してもらえます。
- 社会保険労務士の場合は、専用の電子証明書を別に申請して取得する必要があります。
もう1つは、パソコンの環境を整えることです。
- インターネットへの接続
- 必要なアプリのダウンロード(e-Govページで可能)
みなさんも、是非、電子申請の利用をしてください。