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時間外労働等改善助成金

 

働き方改革関連法案の施行が来年4月に控えています。時間外労働の上限規制や有給休暇の5日以上の付与、労働時間の把握など、事業主や総務の方には頭の痛い内容があるようですが、これらの改革の金銭的負担を軽減してくれる助成金があります。

それが、この「時間外労働等改善助成金」です。

 

助成金は2017年から始まっていますので、働き方改革法案の成立より前からあります。IT導入補助金などもそうですが、働き方改革は法案成立より助成金・補助金が先行しているものがありますね。

 

※このページでは、わかるやすくするために細かい条件を省略したり、言葉を言い換えたりしています。実際に申請する際は、労働局の申請マニュアルで確認してください。

厚生労働省のページ

 

助成金の活用方法

 

この助成金ですが、交付申請 → 計画実施 → 支給申請 という流れになっていますが、2018年は交付申請が12月3日までとなっていて、すでに〆切が終わっています

しかし、来年はもうないのか、というと働き方改革が始まったばかりなのでおそらく同様のものが続くと予想されます。しかも、一部のコースでは上限金額が増えるという噂もありますので、来年に向けて導入に必要なものを試算しておくといいと思います。

この時間外労働等改善助成金は、就業規則の変更に伴う支出も対象で、さらに働き方改革法案に必須のタイムレコーダーの導入や、その他設備の購入、業務改善のコンサルティングや研修に対して支出した費用の一部も助成してくれますので、一石二鳥のものだと思います。
(ただし、就業規則の変更はあくまで労働時間改善を主目的としたものである必要がありますので注意してください)

ついでに、というと語弊があるかもしれませんが、働き方改革対応に合わせてこれまでやりたかった業務改善もできるのではないでしょうか。

 

コースは、下記の5つです。それぞれ目標や上限金額などは異なりますが、支給対象となる取組はだいたい同じなので、もっとも適したどれか一つを選ぶべきでしょう。

  • 時間外労働上限設定コース
  • 職場意識改善コース
  • 勤務間インターバル導入コース
  • テレワークコース
  • 団体推進コース(このページでは省略します)

時間外労働上限設定コースは、どちらにしろ働き方改革の時間外労働上限規制が義務付けられているので、 もっとも取り組みやすい内容です。また、 上限額も大きいので、利益も大きいです。これが使えない場合には、他のコースを選択するといいと思います。

 

時間外労働上限設定コース

 

これは、就業規則等にずばり時間外労働の上限を規定するという内容で、それに加えて業務の効率化に投資した部分にも助成する内容となっています。

 

支給対象となる取組

 

①労務管理担当者に対する研修(業務研修含む)・・・30万円まで
②労働者に対する研修、周知・啓発・・・30万円まで
③外部専門家によるコンサルティング・・・30万円まで
④就業規則・労使協定等の作成・変更(社会保険労務士などへ依頼した費用)・・・20万円+α
⑤人材確保に向けた取組(求人広告など)
⑥設備・機器の導入・更新

  • 労務管理用ソフトウェア、機器(タイムレコーダー、ICカードなど)
  • デジタル式運行記録計(運送業など)
  • テレワーク用通信機器
  • その他労働能率の増進に資するもの

その他労働能率の増進に資するもの、はPOS装置、食洗器、ダンプカー、3DCADなど、割となんでも対象になりそうなので、使い勝手がよさそうです。

 

対象事業主

 

要件は2つあります。中小企業であれば、だいたい当てはまると思います。

 

まずは、中小企業事業主であること(下記表の資本金か労働者の条件のいずれかを満たすもの)。

 資本金の額
または出資の総額
常時雇用する労働者の数
小売業(飲食店を含む)5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他の業種3億円以下300人以下

 

もう一つは、36協定に基づく時間外労働や休日労働を複数月に(または複数名が)行ったこと。

 

成果目標

 

36協定の時間外労働または休日労働時間数に上限設定して届出を行うこと(下記いずれか)。

・時間外が月45時間以下、年間360時間以下

・時間外が月45時間超60時間以下、年間720時間以下

・時間外+休日労働が月60時間超80時間以下、年間720時間以下

 

これは、働き方改革で義務付けられた上限時間そのものですので、必ずやらなければならない内容なので、目標設定としてはまったく問題がないのではないでしょうか。

ただし、すでに上記の時間内で36協定を届出されている企業については、使えないことになります。

 

上記以外に、 4週当たり1~4日の休日を増加させることも目標に加えることができます。

こちらは、完全週休二日制の会社は難しいですね。

 

支給額

 

支給額は、支給対象となる取組にかかった費用×3/4となります。

30人以下の企業では、「設備・機器の導入・更新」にかかった費用については、費用×4/5となります(それ以外は3/4)。

 

ただし、 上限額があります。

事業実施後の設定時間数月45時間・年360時間月60時間・年720時間月80時間・年720時間
実施前 月80時間超150万円100万円50万円
実施前 月60時間超100万円50万円
実施前 月45時間超50万円

 

4週当たり1~4日の休日増加をした場合には、”休日加算額”というのが加えられ、上限は合計で200万円までとなっています。

休日加算額については、以下のとおりです。時間外目標の上限150万円+休日加算100万円でも200万円が上限です。

事業実施後4週/8日4週/7日4週/6日4週/5日
実施前4日/4週100万円75万円50万円25万円
実施前5日/4週75万円50万円25万円
実施前6日/4週50万円25万円
実施前7日/4週25万円

 

手続

 

交付申請 → 計画に従って取組実施 → 支給申請 という流れになります。

 

交付申請時の提出書類は、
①交付申請書
②事業実施計画
現在の36協定(計画実施前のもの)
過去の36協定と賃金台帳
休日加算する場合は就業規則等
⑥取組実施の費用の見積書

 

支給申請時の提出書類は、

①支給申請書
②事業実施結果報告書
③労使の話し合いについての議事録や参加者名簿
④労働時間に関する意見などの受付担当者選任を周知したことがわかる資料
⑤労働者に事業実施計画を周知したことがわかる資料
⑥支出した費用の領収書等
⑦事業を実施したことが客観的にわかる資料
成果を証明する書類(実施後の就業規則や36協定等)
⑨補助金等を受けている場合はそれに関する資料

 

労使の話し合いや労働者への周知に関して、表面的に行うのではなく、実のある内容になっていることを求められており、それなりの時間と労力が必要になっています。

 

職場意識改善コース

 

このコースは、年次有給休暇の取得促進と所定外労働時間の短縮を目標とし、実際に達成できた場合に支給する助成金になっています。目標設定が高く、達成が困難なので、使いづらいコースだと思います。

 

支給対象となる取組

 

時間外労働上限設定コースと同じです。

 

対象事業主

 

要件は、

中小企業事業主であり(時間外労働上限設定コースと同じ)、労災保険の適用があり、下記のどちらかに該当すること

①労働者の有給休暇の平均取得日数が13日以下で、月の時間外労働が平均10時間以上

②法定労働時間が週44時間の特例措置対象事業場であり、所定労働時間が40時間超

 

特例措置対象事業場とは、常時10人未満の労働者が従事する、①商業②映画・演劇業③保健衛生業④接客娯楽業です。

 

成果目標

 

対象事業主①の場合は、

  • 有給休暇の平均取得日数を4日以上増加
  • 時間外労働の平均を5時間以上削減

 

対象事業主②の場合は、所定労働時間を2時間以上短縮し、40時間以下とする

 

時間外労働上限設定コースに比べると、目標が厳しいように感じます。

しかし、対象事業主①の場合の条件は、もし未達成であってもいくらかの助成金は受け取ることができるので、ありがたいです。

 

支給額

 

取組に対して支出した費用×補助率で計算します。常時30人以下の企業に対する補助率4/5については時間外労働上限設定コースと同じです。

 

対象事業主①の場合は、

目標の達成状況補助率上限額
両方とも達成し、有給休暇の平均取得日数を12日以上増加3/4150万円
両方とも達成3/4100万円
どちらかを達成し、有給休暇の平均取得日数を12日以上増加5/8133万円
どちらかを達成5/883万円
どちらも未達成1/267万円

達成状況は、3か月間で評価することになります。

 

対象事業主②の場合は、「達成」が条件で補助率は3/4、上限額は50万円です。

 

手続

 

交付申請 → 計画に従って取組実施 → 支給申請 という流れは時間外労働上限設定コースと同じですが、交付申請から支給申請までの期間が長くなっています。

交付申請時の提出書類は、
①交付申請書
②事業実施計画
③有休増加に取り組む場合は、 賃金台帳や休暇簿
④労働時間短縮に取り組む場合は、 就業規則等
⑤取組実施の費用の見積書

支給申請時の提出書類は、時間外労働上限設定コースとほぼ同じです。

「成果を証明する書類」として賃金台帳や休暇簿、就業規則が必要となります。

 

勤務間インターバル導入コース

 

働き方改革の話題の中心は「時間外労働の上限規制」ですが、それ以外にも重要な法律改正があり、その中に「勤務間インターバル制度」というものがあります。
この制度は、2019年4月から 努力義務になっています。これは、1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間を確保する仕組みを取り入れる、というものです。
今のところ努力義務ですので、積極的にやろうとは思わない事業主も多いと思いますが、この制度を導入した場合にもらえる助成金があるとなると、検討も視野に入るのではないでしょうか。

 

支給対象となる取組

 

時間外労働上限設定コースと同じです。

 

対象事業主

 

要件は、
中小企業事業主であり(時間外労働上限設定コースと同じ)、労災保険の適用があり、下記のどれかに該当すること。
①勤務間インターバル制度を導入していない(新規導入)
②既に9時間以上の勤務間インターバル制度を導入しているが、対象となる労働者が半数以下(適用範囲の拡大)
③既に9時間未満の勤務間インターバル制度を導入している(時間延長)

 

成果目標

 

目標は、就業規則等で 半数超の労働者に適用される 9時間以上の勤務間インターバル制度を定めることです。

「時間延長」の場合は、2時間以上の延長をして9時間以上の制度にすることが必要です。

 

支給額

 

支給額の計算は時間外労働上限設定コースと同じです。

 

上限額は、以下のとおりです。

インターバル時間新規導入適用範囲の拡大
時間延長
9時間以上11時間未満40万円20万円
11時間以上50万円25万円

※上限額は1企業あたりです。1企業の複数事業所で導入しても上限は企業単位となります。

 

手続

 

交付申請 → 計画に従って取組実施 → 支給申請 という流れは時間外労働上限設定コースと同じです。

 

交付申請時の提出書類も、時間外労働上限設定コースとほとんど同じです。
①交付申請書
②事業実施計画
現在の就業規則等
④取組実施の費用の見積書

支給申請時の提出書類は、時間外労働上限設定コースとほぼ同じです。
「成果を証明する書類」として 就業規則等が必要となります。

 

 

interval<勤務間インターバル制度の導入を推奨します。>

 

 

テレワークコース

 

このコースは、在宅勤務やサテライトオフィスでの就業を促し、通勤時間を減らしたり空いた時間を有効に使うなどして業務の効率化を図るためのものです。

 

支給対象の取組

 

①労務管理担当者に対する研修(業務研修含む)
②労働者に対する研修、周知・啓発
③外部専門家によるコンサルティング
④就業規則・労使協定等の作成・変更(社会保険労務士などへ依頼した費用)
⑤テレワーク用通信機器の導入・運用
⑥保守サポート、クラウドサービスの導入

 

対象事業主

 

中小企業事業主で、下記のどちらかにあてはまること。
①テレワークを新規で導入する(試行的に導入していてもよい)
②テレワークを継続して活用する

 

成果目標

 

目標は、下記の3つです。
①評価期間に1回以上、対象者全員にテレワークをさせる。
②評価期間に対象者にテレワークを週平均1日以上させる。
③前年比較で、有給休暇の取得を4日以上増加 または 月の時間外・休日労働時間を5時間以上削減

 

①と②はいいですが、③はハードルが高いですね。

 

支給額

 

他のコースと同様、取り組んだ支出に対して、補助率をかけます。

支給額は達成か未達成で金額が変わってきます。ハードルが高い分、未達成でも支給されるのがありがたいです。

だからといって、最初から目標達成を目指さなかったり、無理だとわかっている申請はやめてください。

 

 目標達成未達成
補助率3/41/2
1人あたり上限額20万円10万円
1企業あたり上限額150万円100万円

 

手続

 

このコースのみ、厚生労働省からの委託先であるテレワーク相談センターが窓口となっています。

 

交付申請 → 計画に従って取組実施 → 支給申請 という流れは他のコースと同じですが、交付申請の時期によって評価期間の長さを変えることができます。

 

交付申請時の提出書類は、

①交付申請書
②事業実施計画
対象者の同意書
④取組実施の費用の見積書

 

支給申請時の提出書類は、

①支給申請書
②事業実施結果報告書
③労使の話し合いについての議事録や参加者名簿
④労働時間に関する意見などの受付担当者選任を周知したことがわかる資料
⑤労働者に事業実施計画を周知したことがわかる資料
⑥支出した費用の領収書等
⑦事業を実施したことが客観的にわかる資料
⑧ 成果を証明する書類(陳儀台帳、タイムカードなど)
実際にテレワークをしたことを証明するもの(GPSの記録、メール報告等)
⑩補助金等を受けている場合はそれに関する資料

 

 

3 comments

  1. ピンバック: 働き方改革とは? 簡単に説明します。

  2. ピンバック: おすすめの助成金(人材確保・労務管理)

  3. ピンバック: 働き方改革の注意点(その他)

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