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働き方改革の目的とは?

 

働き方改革の目的

今年は、あっちを向いてもこっちを向いても「働き方改革」でした。働き方改革関連法案が可決されたのは今年の6月ですが、2017年の流行語大賞にノミネートされるなど、昨年から大きな話題になっていました。その勢いは今年も止まらず、来年4月の施行に向けて、各企業は大変頭を悩ませているようです。

 

70年ぶりの労働法「大改革」

 

この働き方改革法案、なんと70年ぶりの労働法の大改革と言われています。昭和22年(1947年)に労働基準法が成立して以来の改革だというのです。これまで労働時間には、明確な上限がありませんでした。「限度時間」はありましたが、強制力はありませんでした。それが今回の改正で罰則付きでの上限設定がされたのです。

 

一億総活躍社会

 

この働き方改革の目的は何でしょうか? これはもともと安倍総理が掲げていた「一億総活躍社会」という理念が源流にあります。一億総活躍社会とは、”少子高齢化に歯止めをかけ、50年後も人口1億人を維持し、職場・家庭・地域で誰もが活躍できる社会” だそうです。

 

一億総活躍社会では、「新・三本の矢」というものが掲げられています。

①戦後最大のGDP600兆円
②希望出生率1.8
③介護離職ゼロ

 

内閣府の人口推計では2060年に8674万人になる見込みなので、これを上方修正し、1億人を維持させたいということで、そのためには、やはり子供を無理なく育てることができる家庭環境を形成することが重要です。

2017年の合計特殊出生率は1.43であり、 人口維持に必要と言われる2.07とはかなり離れています。2.07まで回復させるのは無理だとしても、せめてもう少し上昇させたいという目標が、「希望出生率1.8」となっています。

希望出生率1.8とは、結婚を希望する人は全国民の約90%で、ほしい子供の人数は結婚している人も含めて2人程度となっているため、それを掛け合わせたら、だいたい1.8程度ということになるようです。

国民の希望を叶えれば、出生率は1.8になるはずですが、それと乖離している現実の出生率との差を埋めるために、いくつ課題を解決しなくてはならないのですが、そのうちの1つが「働き方」ということになります。国民の働き方を変えて、子育てに参加できるようにならなければ、この目標を達成することができないのです。

 

また、「1億維持」も重要ですが、「総活躍」も大事な部分です。これから人口が減少していく中で、女性はもとより、高齢者、障害者、外国人など、日本の経済成長のために必要な人的資源をすべて有効活用しなくてはならない、という悲壮な覚悟がある理念だと思います。

家族の介護のために仕事を辞めざるを得ない 「介護離職」はおよそ年間10万人と言われています。これらの人々も当然、重要な人的資源で、介護離職ゼロも目指すべき方向の1つとなっています。

そのために、労働時間の短縮や多様な働き方が求められているのです。

 

このまま人口がどんどん減少していけば、当然ながら日本の国際競争力も落ちていき、「日沈む国」になってしまいます。そうならないために、とにかく労働生産性を向上させ、他国に負けない強靭な構造を作らなければいけない、という考えから、「70年ぶりの大改革」が必要になったのです。

 

働き方改革が目指す方向

 

上記の働き方改革の目標を達成するために行う施策を決めるために、「働き方改革実行計画」というものがあります。

  1. 働く人の視点に立った働き方改革の意義
  2. 同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善
  3. 賃金引上げと労働生産性向上
  4. 罰則付き時間外労働の上限規制など長時間労働の是正
  5. 柔軟な働き方がしやすい環境整備
  6. 女性・若者の人材育成など活躍しやすい環境整備
  7. 病気の治療と仕事の両立
  8. 子育て・介護等と仕事の両立、障害者の就労
  9. 雇用吸収力、付加価値の高い産業への転職・再就職支援
  10. 誰にでもチャンスのある教育環境の整備
  11. 高齢者の就業促進
  12. 外国人材の受入れ
  13. 10年先の未来を見据えたロードマップ

 

1と13はこれだけでは具体性のない理念ですが、2~12を見ると働き方改革の進む方向は明らかです。

2は働き方改革法案に盛り込まれた「非正規社員の待遇差別の禁止等」、4は上限規制だけでなくインターバル制度の導入や割増賃金の猶予廃止、有給休暇の強制付与などの施策になっています。5についてはフレックスタイム制の緩和がされています。

3についてもこのところの最低賃金の上昇が該当するでしょう。

12についても、このところ積極的な議論がされているところです。

 

 

企業の対応

 

働き方改革にどう対応するか?

 

働き方改革により、残業時間の上限規制が厳しくなり、残業の割増賃金も高くなります。

全国的な人手不足で採用もままならない中、さらに有給休暇の取得も促進、勤務間インターバル制度などで社員の労働時間を圧縮しなくてはなりません。

正規社員と非正規社員の待遇均等・均衡が義務付けられる上、最低賃金も大きく上昇しています。

企業としては、「どうすればいいの?」ってなりますよね。

今のままの人数で、今のままの仕事量では、とても「働き方改革」についていけない、という中小企業の社長たちの嘆きが聞こえます。確かに、「今のままなんとかしたい」というのではとても無理な話になりますので、生産性を高めていきましょう、というのがこれからの考え方なんです。

 

上の働き方改革実行計画の9に、「雇用吸収力、付加価値の高い産業への転職・再就職支援」とあります。付加価値(生産性)を高めることができなければ、他社へ従業員が奪い取られていくしかなくなるということかもしれません。

 

生産効率を上げるしかありません

 

働き方改革は、労働者の労働時間を減らして健康管理と家族サービスへ繋げる、というようにも見えますが、実際は企業へ生産性の向上を強制しているのです。このままでは国として、競争力を失ってしまう、という危機感がそうさせています。

日本の労働生産性は欧米諸国に比べてかなり劣っていると言われますが、それを補っているのが労働時間なんです。高い労働生産性会社に対して長労働時間対抗するというビジネスモデルでは、いずれ破綻してしまうということは予想がつきます。そうならないために、欧米諸国並みの労働生産性が今、求められているのです。

働き方改革を契機に、決死の覚悟で生産性の向上を成功させた企業には、必ず明るい未来が待っています。そして、この問題は、社員を雇っている会社だけではなく、社会全体で対応していかなくてはいけないことですので、われわれ社会保険労務士も一緒になって、どうすれば効率的な仕事ができるようになるか、考えていかなくてはならないと思います。

 

 

働き方改革の具体的な内容はこちら>働き方改革とは? 簡単に説明します。

 

 

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