これから初めて会社にお勤めになる皆さんも、これから会社を設立する方々も、絶対に押さえておきたい事項が、労働時間・休憩・休日というものの定義です。
労働時間とは? 休憩とは絶対に必要なもの? 休日とはいつ取るもの?
この基本を知らずに仕事はできませんし、社員を雇うこともできません。ぜひ一度、基本的なことから知ってください。
まずは、「労働時間」からです。
休憩については、>休憩の必要性をご覧ください。
休日については、>法定休日、振替休日と代休をご覧ください。
法定労働時間
原則の法定労働時間
労働基準法では、下記のように「法定労働時間」を決めています。
第2項 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。
として、1日8時間まで、1週間の合計で40時間まで、と決まっています。
これだと残業したら1日8時間なんてすぐに超えてしまいますよね? そこで法定労働時間を超えたいときに「36協定」を労使で締結して届け出る必要があります。。これを出せば、法定労働時間を超えることが許されるのです。ただし、それも無制限ではありません。
時間外労働については、時間外労働・休日労働と36協定を参照ください。
36協定については、働き方改革の注意点(時間外労働・休日労働と36協定)を参照ください。
法定労働時間に対して、「所定労働時間」というものがあります。これは、企業が法定労働時間の範囲内で決める労働時間です。1日7時間30分など自由に決めて就業規則に記載することができます。
法定労働時間の特例
下記の事業のうち、常時10人未満の労働者を使用する事業(特例措置対象事業といいます)は、1週間に44時間まで労働させることができます(1日は8時間まで)。
特例対象事業 | 内容 |
---|---|
商業の事業 | 物品の販売、配給、保管、賃貸又は理容の事業 |
映画・演劇の事業 (映画の製作の事業を除く) | 映画の製作又は映写、演劇その他興行の事業 |
保健衛生の事業 | 病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業 |
接客娯楽の事業 | 旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業 |
労働時間に含まれるもの
労働時間とは何か
ある労働者の労働時間が法定労働時間の範囲内かどうかは、 労働時間とは何か、ということがわからないと判断できません。
労働時間とは、「使用者の 指揮命令下で働いている時間」をいいます。指揮命令下に置かれているかどうかは、就業規則等に定められているかどうかではなく、 客観的に見て指揮命令下と評価できるかどうかで決まります。
指揮命令下かどうかは使用者の明示の指示だけではなく、労働者の暗黙の了解のようなものでも成立する場合がありますので、注意が必要です。
労働時間に含まれるもの
一方、仕事をする態勢にはあるが、業務上の都合で 手待ち状態になる場合は、労働時間に含まれます。
その他、労働時間に含まれるとされるのは、
- 安全衛生教育
- 特殊健康診断
- 安全・衛生委員会への出席
- 職務上、参加が義務付けられている教育訓練
- 走行中のトラックの助手席での仮眠
- 昼食休憩中の来客当番
- 本来業務の準備作業や後片付け
- ビル警備員の仮眠時間(警報・電話対応が義務付けられている場合)
労働時間に含まれないもの
休憩時間は自由に使えるので「指揮命令下」とは言えず、労働時間にはなりません。
また、 通勤時間も指揮命令下にあるとは言えず、労働時間には含まれません。
その他労働時間に含まれないのは、
- 一般の健康診断(ただし、労働時間に含めるのが望ましい、とされています)
- 自由参加の教育訓練
- 着替えや手洗いなど
1日に複数の事業場で勤務した場合
労働時間は事業場が違っても、通算されます。
ある会社で午前中に4時間働いてきた労働者は、午後から別の会社であっても4時間しか働くことができません。
36協定を結んでいれば、それ以上の労働が可能になりますが、割増賃金が発生します。この割増賃金は、後の事業場の事業主が支払う義務があります。
労働時間の対象にならない者については、>労働時間、休憩、休日の対象外
罰則
法定労働時間に関する違反については、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金となっています。
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