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労働契約を結ぶときの注意事項

 

面接が終わり、採用が決まった後は、労働契約を結ぶ必要があります。

その際、基本的な内容は絶対に押さえておかなければなりません。え? 知らなかった、ということがないように一度目を通してくことをお勧めします。

 

労働基準法では、労働契約の締結について、規定を置いています。それらを紹介しながら、注意事項を説明します。

 

労働基準法違反の契約

 

これについては、条文を記載しておきます。

 

労働基準法第13条 この法律で定める 基準に達しない労働条件を定める労働契約は、 その部分については無効とする。この場合において、 無効となつた部分は、この法律で定める基準による

 

労働基準法の基準として、労働時間、休憩、休日、割増賃金、年次有給休暇といった基本的なところを確認するようにしてください。

また、最低賃金は最低賃金法によりますが、これについても確認が必要です。

 

労働時間については、>労働時間とは

休憩については、>休憩の必要性

休日については、>法定休日、振替休日と代休

割増賃金については、>時間外労働・休日労働の場合の割増賃金

年次有給休暇については、>年次有給休暇がもらえる時期と日数年次有給休暇の取得(使用)と注意事項

最低賃金については、>最低賃金

 

契約期間

 

有期労働契約の原則

 

労働契約は、期間の 定めがある場合は、原則として3年が上限となっています。3年を超える期間で締結したときは、3年の契約であるとみなされます。

1年を超える労働契約を締結したときは、契約期間の途中でも 1年が経過したときは、 労働者側からいつでも退職を申し出ることができます。

 

これが原則ですが、以下に例外を挙げます(例外の場合は、上記の1年での退職はできません)。

 

一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約

 

建設工事など、一定の決まった期間があるときは3年を超えて、 その事業が終わるまで契約することができます。

 

満60歳以上の労働者

 

契約時に60歳以上の労働者の場合は契約を 最長5年とすることが可能で、それを超える契約は5年の契約とみなされます。

 

専門的知識等を有する労働者

 

専門的知識等を有する労働者も、労働契約を 最長5年とすることができます。

 

これがどのような労働者かというと、参考までに紹介します。

①博士の学位がある方(普通は、大学院の博士課程を修めた人)

②公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士、弁理士の資格を持つ者

③ITストラテジスト試験・システムアナリスト試験・アクチュアリーに関する資格試験の合格者

④特許発明の発明者・登録意匠を創作した者・登録品種を育成した者

⑤賃金が1年で1,075万円以上が見込まれる各種の技術者(各種の技術者について知りたい方は、平成15年厚生労働省告示第356号を確認ください)

 

認定職業訓練を受ける労働者

 

職業能力開発促進法に基づく認定を受けて行われる職業訓練を認定職業訓練といい、この訓練生は労働契約の上限を 訓練期間の終期までとすることができます。

 

無期契約労働者

 

ここまで有期契約労働者についてしてきましたが、契約期間は必ずしも必要なものではありません。正社員のように、無期契約というのももちろん有効で、この場合は、労働者側からの14日前からの申出で退職が可能です(民法第627条)。

使用者側からの契約解除は解雇と呼ばれ、別途労働基準法に規定があります。

 

有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準

 

労働基準法第14条第2項に基づき、厚生労働大臣は「期間の満了に係る通知」について、基準を定めています。これに従って、労働基準監督署は行政指導を行うことができます。

 

契約締結時の更新の明示

 

有期契約を締結する際、使用者は労働者に 更新の有無とその 基準を明示しなくてはなりません。

 

雇止めの予告と理由の明示

 

下記のいずれかに該当する場合が対象です。

① 有期労働契約が3回以上更新されている
② 1年以下の労働契約が更新され、 通算契約期間が1年を超える
③ 1年を超える労働契約を締結している

 

上記に該当する労働者を雇止めする場合、契約満了の 30日前までに予告してあげることが必要です。

また、 契約更新しない理由についての証明書を請求された場合には、遅滞なく交付する義務があります。

 

契約期間についての配慮

 

下記に該当する場合が対象です。

契約を1回以上更新し、かつ、1年を超えて継続して雇用

 

配慮の内容は、契約期間をできる限り長くする、ということです。これは、「配慮」という努力義務になっています。

 

労働条件の明示

 

使用者は、労働者と労働契約を結ぶ際には、 労働条件を明示しなければなりません。

派遣労働者の場合は、派遣元の使用者が派遣先の労働条件を明示する義務があります。

 

絶対的明示事項

 

下記の事項は、契約時に必ず明示しなくてはいけない事項です。労働者としては知らなかった困ることばかりなので、当たり前の内容になっています。労働契約の基本なので定めがない、というわけにはいきません。

 

明示事項
労働契約の期間いつから開始するか
期間の定めがあるか、いつまでか
更新あるか、更新の基準
就業場所・従事すべき業務本社・支社・工場のどこか
配属先、どんな仕事をするか
労働時間始業・終業の時刻、残業の有無
休憩時間は何時から何時の何回か
休日・休暇所定休日(会社カレンダー)
有給休暇の日数と付与時期
2交代・3交代制の就業時転換交代する時間、ルール
賃金・昇給賃金額、諸手当、割増賃金率
締め切り日、支払日、支払方法
昇給の有無と時期
退職・解雇定年年齢、再雇用制度の有無と基準
自己都合退職の手続
解雇の理由

 

明示の方法は、書面の交付が必要です。口頭で伝えただけではだめです。

「労働条件通知書」の形で交付するのが一般的ですが、就業規則を渡して必要箇所を示す、ということでも可能です。

 

相対的明示事項

 

相対的明示事項とは、 定めがある場合には明示しなくてはならない事項です。

①退職手当
②賞与や臨時の賃金、最低賃金額
③労働者が負担する食費や作業用品など
④安全、衛生
⑤職業訓練
⑥災害補償、業務外の傷病扶助
⑦表彰・制裁
⑧休職

相対的明示事項については、書面ではなく口頭での明示で構いませんが、できれば書面で渡すほうがいいでしょう。

休職については、>>休職とは? 休業との違いを参照ください。

 

明示事項が実際のものと異なった場合

 

明示された労働条件が実際のものと異なった場合は、労働者は即時に労働契約を解除できます。

もし就職のために引っ越しをしていた場合は、契約解除から14日以内に帰郷する場合は、使用者はその必要な旅費を負担しなければなりません。

 

労働契約に関する禁止事項・注意事項

 

賠償予定の禁止

 

使用者は、労働者に対して労働義務を全うしなかった場合に、あらかじめ損害賠償額を決めておくことは許されません。

これは、損害がいくらかわからないのに「額」を決めてはいけない、ということなので、実際に発生した損害に対しての賠償請求は可能です。

 

前借金相殺の禁止

 

使用者が労働者にお金を貸し、その返済のために働かせて、賃金と借金の相殺をしてはいけない、ということです。

 

強制貯金

 

強制貯金とは、労働契約に付随して貯蓄の契約をさせることで、これは禁止されています。

 

しかし、労働者からの依頼で貯蓄金を管理する任意貯金は認められています。任意貯金には、通帳を預かっておくだけの通帳保管も含まれます。

任意貯金の場合は、下記が必要です。
①労使協定の締結・労働基準監督署への届出
②貯蓄金管理規定の作成・労働者への周知
③毎年4月1日に労働基準監督署へ報告

 

 

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