男性が育児に参加させることを目的とした助成金があります。それが、この両立支援等助成金(出生時両立支援コース)というものになります。平成29年4月から両立支援等助成金に追加されました。
この助成金の窓口は、ハローワークではなく、各都道府県労働局の雇用環境・均等室(部)というところになります。石川県でいえば、駅西合同庁舎の6階になります。
本当に詳しい説明は、厚生労働省のページを見ていただくとして、ここでは、概略と注意点を説明します。
出生時両立支援コース
男性の育児参加に対して協力した企業に助成金を支給するもので、この中でも2種類あります。
①男性労働者の育児休業
②男性労働者の育児目的休暇
となっています。
①については1人目の育休取得者は5日連続で休むだけで中小企業で57万円支給され、②については育児目的休暇を不連続で5日間取るだけで28.5万円支給されるという、非常に手厚い内容になっています。
しかも、提出物も準備するのがそれほど大変ではないので、かなり有利な助成金となっています。
ただし、①については同じ企業内の2人目の取得者(同じ人が2回目でも可)からは金額が減りますし、②については1企業1回しか使えないので、注意が必要です。
というのは、提出物としては大したことがないですが、就業規則の変更を伴いますので、それなりの労力が必要だからです。また、就業規則を変更し、先例を作るということは、助成金がなくなっても次の希望者にも同様の休業・休暇を与えなくてはいけない、ということになるのです。
特に中小企業には手厚い助成金ではあるのですが、これによってとにかく男性労働者の育児参加の流れを確立させたい、という労働局の思惑が感じられます。
上記のように注意が必要だと言いましたが、いずれ男性も育児休業・休暇を取るのが当たり前になっていくはずです。であるならば、他の企業より先に制度を取り入れて、待遇のよさをPRして人材確保を有利にするという意味はあると思います。
そうであれば、是非この助成金を活用すべきではあります。
男性労働者の育児休業
要件として、
①一般事業主行動計画(次世代支援対策推進法)を策定し届出・公表・周知をしている。
②育児休業の制度および短時間勤務制度を就業規則等に規定している。
※育児休業は、就業規則で「有給とする」としても構いません。ただし、男性だけの育児休業取得者だけを有給にせず、女性の場合も同様の日数分は有給とするように心がけてください。
③男性が育児休業制度を利用しやすい取り組みを行った。
(周知、休業取得勧奨、管理職向け研修など)
④雇用保険の被保険者である男性労働者に、子の出生後8週間以内に、連続14日以上(中小企業は5日以上)の育児休業を取得させた。
※8週間以内に育児休業が開始すればよい。
手続は、育児休業終了から2か月以内に申請してください。
提出物は
①申請書および支給要件確認申立書
②就業規則と労使協定
③周知や研修を行ったことを証明する書類
④育児休業申出書
⑤タイムカードと賃金台帳など
⑥労働条件通知書など
⑦母子手帳など
⑧一般事業主行動計画
受給額は、
中小企業 | 中小企業以外 | |
---|---|---|
1人目の育休取得者のみ | 57万円<72万円> | 28.5万円<36万円> |
2人目以降の育休取得者 | 5日以上:14.25万円<18万円> | 14日以上:14.25万円<18万円> |
14日以上:23.75万円<30万円> | 1か月以上:23.75万円<30万円> | |
1か月以上:33.25万円<42万円> | 2か月以上:33.25万円<42万円> |
となっています。< >の中の数字は、「生産性要件」を満たした場合です。
男性労働者の育児目的休暇
こちらの要件は、
①~③は、育児休業の場合と同じです。
④雇用保険の被保険者である男性労働者に、子の出生後8週間以内に、合計8日以上(中小企業は5日以上)の育児目的休暇を取得させた。
※8週間以内に育児目的休暇を5日以上ないし8日以上取る必要があります。ただし、連続でなくてもよいです。
⑤平成30年4月1日以降に育児目的休暇の制度を新設し、就業規則等に規程した。
※休暇は連続ではなく分割でも取得可能である旨および有給か無給かを記載すること。
手続は、最後の休暇取得日から2か月以内に申請してください。
提出物は、
①申請書および支給要件確認申立書
②就業規則と労使協定
③周知や研修を行ったことを証明する書類
④タイムカードと賃金台帳など
⑤労働条件通知書など
⑥母子手帳など
⑦一般事業主行動計画
受給額は、中小企業で28.5万円<36万円>、中小以外で14.25万円<18万円>となっております。
※< >内は生産性要件満たした場合。
一般事業主行動計画
一般事業主行動計画とは、次世代育成支援対策推進法に基づき、企業が従業員の「仕事と生活の調和」を図るための雇用環境の整備等に取り組むためのもので、厚生労働省に届出を行うものです。
詳細は、厚生労働省のページを参考にしてください。
一般事業主行動計画の策定・届出は、法律では従業員101人以上の企業に義務付けられているのですが、石川県においてはい「しかわ子ども総合条例」により、51人以上の企業に義務付けがされており、さらに平成31年4月から21人以上の企業に「積極的努力義務」となる予定です。
中小企業の範囲
中小企業事業主の範囲は以下のとおりです。
資本金の額 または出資の総額 | 常時雇用する労働者の数 | |
---|---|---|
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
※資本金の額と労働者数はどちらかが該当すれば、中小企業になります。
具体的にどのような企業が上記に区分されるかは、以下のとおりです。
業種の区分 | 日本産業分類 |
---|---|
卸売業 | 中分類50(各種商品卸売業) 中分類51(繊維・衣服等卸売業) 中分類52(飲食料品卸売業) 中分類53(建築材料、鉱物・金属材料等卸売業) 中分類54(機械器具卸売業) 中分類55(その他の卸売業) |
小売業 | 中分類56(各種商品小売業) 中分類57(織物・衣服・身の回り品小売業) 中分類58(飲食料品小売業) 中分類59(機械器具小売業) 中分類60(その他の小売業) 中分類61(無店舗小売業) 中分類76(飲食店) 中分類77(持ち帰り・配達飲食サービス業) |
サービス業 | 中分類38(放送業) 中分類39(情報サービス業) 小分類411(映像情報製作・配給業) 小分類412(音声情報製作業) 小分類415(広告製作業) 小分類416(映像・音声・文字情報製作に付帯するサービス業) 大分類K(不動産業、物品賃貸業)のうち 小分類693(駐車場業) 中分類70(物品賃貸業) 大分類L(学術研究、専門・技術サービス業) 大分類M(宿泊業、飲食サービス業)のうち 中分類75(宿泊業) 大分類N(生活関連サービス業、娯楽業)ただし、小分類791(旅行業)は除く 大分類O(教育、学習支援業) 大分類P(医療、福祉) 大分類Q(複合サービス事業) 大分類R(サービス業<他に分類されないもの>) |
その他 | 上記以外すべて |
(福岡労働局ホームページより)
生産性要件
生産性要件とは、生産性が3年前から比べて6%以上伸びていること。
もしくは、3年前から比べて1%以上伸びていること(ただし、金融機関から事業性を評価されていることが必要)。
生産性要件の適用を希望するときは、別途それを証明するものを提出する必要があります。
生産性=付加価値 / 雇用保険被保険者数
付加価値=営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課
(※人件費は役員報酬含まず)
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ピンバック: 働き方改革とは? 簡単に説明します。