会社員の方は、もし障害を負ってしまった場合に、 障害基礎年金に加えて障害厚生年金を受給できます。よく障害基礎年金は1階部分、障害厚生年金は2階部分にたとえられますね。
障害基礎年金と障害厚生年金の大きな違いは、障害厚生年金は障害等級3級までが支給対象になっている点です。
1級、2級の障害厚生年金を受給される方は、基本的には障害基礎年金も受給します。3級の場合には障害厚生年金のみの受給になりますが、基本的に老齢基礎年金をベースにしている制度なので、要件などで重複している部分があります。その点はここでは省略していますので、障害基礎年金を確認ください。
※国民年金である障害基礎年金については、障害基礎年金はいくらもらえるか、のページをご覧ください。
このまま会社を辞めずにいた場合に、どれくらいの年金をもらえるのかということを知っておくことで、生活していくためにあといくらの不足があるかがわかり、いくらくらいの生命保険に入っておく必要があるかがわかります。
生命保険に入ることを検討している方には、是非、確認しておくことをおすすめします。
支給要件
支給要件は3つあり、そのすべてを満たす必要があります。
- 初診日要件
- 障害認定日要件
- 保険料納付要件
この点、障害基礎年金とよく似た構成になっていますので、語句の説明等はそちらで確認してください。
初診日要件
初診日の意味は障害基礎年金と同じです。
初診日要件として、 初診日に厚生年金保険の被保険者であることが必要です。
初診日に被保険者であれば、その後に退職して資格を喪失していても構いません。
障害認定日要件
障害認定日の意味は障害基礎年金と同じです。
ですので、認定日要件もほぼ同じですが、異なる点は、 3級該当でもいいということです。
保険料納付要件
保険料納付要件に関しては、障害基礎年金とまったく同じです。
注意してほしいのは、保険料の納付は 国民年金の被保険者期間を要件としていますので、ずっと会社員であったなら会社が納めてくれているので問題ないですが、会社勤めでない期間がある場合には、初診日の前々月から1年のうちに未納期間等がないことなどが求められます。
※前々月までに被保険者期間がない場合(18歳で就職してすぐの月に初診日など)は、納付要件問われません。
特殊な障害厚生年金
事後重症、基準障害などは、障害基礎年金とほとんど同じですが、「20歳前傷病」というものはありません。
事後重症
障害基礎年金とほぼ同じですが、 3級までが対象になります。
基準障害
障害基礎年金とまったく同じです。 2級までしか対象になりません。
支給額
障害厚生年金は、基本的な年金額+加給年金となっています。
基本的な年金額
障害基礎年金の年金額は、老齢厚生年金の報酬比例部分の額(加給年金額を除いた額)をベースとします。ということは、老齢基礎年金とは異なり、 納めた保険料の額(会社員として働いた年数とも言えますね) によって、年金額が変わってきます。
ただし、あまりに少ないと生活の足しにはならないので、 最低でも300月(25年)は加入しているものとみなして計算をします。障害を負ってしまった方は、残念なことに労働によって生活費を獲得する手立てが大きく減少しますので、手厚い支給となっています。
報酬比例部分の年金額については、老齢厚生年金はいつから、いくらもらえるか、を参照してください。
障害厚生年金の年金額は下記のとおりです。
障害等級 | 年金額 |
---|---|
1級 | 報酬比例の年金額×1.25 +加給年金額 |
2級 | 報酬比例の年金額+加給年金額 |
3級 | 報酬比例の年金額 |
3級は加給年金額がありません。
ただし、3級の場合には障害基礎年金を受けることもできないので、最低保障額として障害厚生年金は、
2級障害基礎年金の額×4分の3(780,900円×改定率×3/4=平成31年度は585,100円)
がもらえることになっています。
※その他、障害基礎年金が受給できない場合にも最低保障額の対象になります。
加給年金額
上でも説明していますが、1級または2級の場合のみ対象です。
生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合に、224,700円×改定率=224,500円(平成31年度)が加算されます。
なお、「生計を維持」の基準として、同居で年収が850万円以下、となっています。