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働き方改革の注意点(その他)

 

使用者による労働時間の把握

 

2019年4月より、これまでは対象外だった管理監督者裁量労働制の適用者を含むほぼすべての労働者の労働時間の把握が義務付けられます。
これは、労働時間の把握の目的が、割増賃金の適正な支払いから、労働者の健康管理に変化しているためです。

労働時間の把握は、①客観的な方法使用者の現認、のいずれかで行うことが原則で、 自己申告はやむを得ない場合を除き認められません。

客観的な方法とは、タイムカードまたはパソコンの立ち上げとシャットダウンを記録する方法ということになります。

 

ただし、労働者が 直行直帰する場合など、タイムカードによる確認ができない場合には、 自己申告も認められることになります。この場合でも、申告が実態に合致しているか、使用者による定期的な調査が必要です。

 

なお、労働時間の把握は、 始業・終業を把握すればよく、休憩時間の把握までをいうものではありません。

 

割増賃金率猶予の廃止

 

月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率について50%以上とすることが、中小企業においても義務付けられます。今までは25%以上でよかった割増賃金率が大幅増になります。

この規定はこれまで大企業には適用されており、中小企業は猶予されていたものですが、この猶予が2023年4月から廃止されます。

(中小企業の定義)
常時使用する労働者数が300人以下のもの。
ただし、卸売業・サービス業は100人以下、小売業は50人以下とする。

注意事項として、50%以上の割増賃金率を回避するために、休日振替を行うことで休日労働をさせて35%以上の割増賃金率を適用させようとすることは、許されません。

 

勤務間インターバル制度

 

1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間を確保する仕組みを取り入れてください、というものです。

これは2019年4月からの努力義務となっており、罰則等はありません。

「一定の休息」を何時間とするかについて、EUの「労働時間指令」では「11時間以上」と定められていますが、今回の日本の改正(労働時間等設定改善法)では、特に時間の定めなく、企業が自由に決めることとなっています。この点、時間外労働改善助成金(勤務間インターバル導入コース)は、9時間以上が対象となっていますので、参考にしてください。

 

具体的な運用方法としては、残業によって、翌日の始業時刻までの時間が定められたインターバル(たとえば9時間)に足りない場合、始業時刻を遅らせる必要があります。

始業時刻を遅らせると、その日の労働時間が減ってしまい、給料が減ることになります。

この点をどうするか、就業規則で明確に定めておく必要があります。

遅れて出社する部分を無給とするのか、始業時刻とともに終業時刻も遅らせるのか、時間単位の年次有給休暇(労使協定必要)を取得させることとするか、または、別途特別な有給休暇を設定するのか(インターバル休暇など)、ということが考えられます。

 

interval<勤務間インターバル制度の導入を推奨します。>

 

 

フレックスタイム制の拡充

 

2019年4月より、これまで1か月だった清算期間(割増賃金の計算期間)を3か月に延長することで、事業主として使いやすい制度になります。

ただし、各月で週平均50時間を超えた場合は、割増賃金の支払いが必要です(週50時間を超える時間外労働が60時間越えの場合は50%以上の割増率)。

なお、これまで労使協定に必要なかった有効期間について、1か月超の清算期間の場合には必要になります。

制度自体は緩やかになったのですが、違反には罰則があり、30万円以下の罰金となります。

 

非正規社員の待遇差別の禁止

 

大企業は2020年4月から、中小企業は2021年4月からの予定となっています(派遣労働については、中小企業も2020年4月から)。

対象となるのは、短時間労働者( パートタイマー、アルバイト)、 有期雇用労働者 派遣労働者です。正規社員と同じ質の仕事をしているこれらの労働者を、単に雇用形態の違いのみで正規社員より低い賃金としたり、福利厚生を受けられなかったりということがないように規制されます。

もともと短時間労働者に対してはあった規定ですが、有期雇用労働者についても、正規社員と職務内容等が同じ場合には、差別的取り扱いが禁止されます。

派遣労働者についても、同様に差別的取扱いの禁止と、不合理な待遇差が禁止されます。
派遣先事業主は、差別的取り扱いにならないように、派遣元事業主に対して 派遣料金について配慮することが求められます。
派遣労働者の待遇は、① 派遣先から派遣元へ正社員の給与水準についての情報提供を行うか、②労使協定によって、担保されることになります。

いずれの非正規労働者に対しても、正規社員との待遇差について説明を求められた場合には、事業主は待遇差の理由と内容を説明する義務があり、説明を求めたことによる不利益取扱いも禁止されます。

また、上記についてのトラブルに関して、行政による紛争解決手続(行政ADR)が設けられます。

 

その他の見直し

 

上記以外に、あまり目立たない改正ですが、以下のようなものがあります。

1つ目は、雇用契約時の労働条件の明示について、これまでは「書面の交付」とされていましたが、労働者が希望した場合には、ファクスまたは電子メールでの明示が可能になります。
ただし、電子メールでの明示は、メール本文ではなく、PDFなどを添付する必要があります。

2つ目は、事業主が労働者と36協定を締結するにあたって、労働者の過半数の代表者について「使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」という点が付け加えられました。

これは、予め、使用者が選んだ人でよいかどうかを労働者に多数決で確認するという方法は取れない、ということになります。ですので、まったく候補者がいない状態から、労働者が代表者を選定しなくてはいけません。

 

 

2 comments

  1. ピンバック: 働き方改革とは? 簡単に説明します。

  2. ピンバック: 変形労働時間制とフレックスタイム制

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