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毎月勤労統計調査の不適切調査

 

厚生労働省の「毎月勤労統計調査」問題が大変な騒ぎとなり、毎日、新聞紙上で追加情報が出てきています。

今月8日に発表された内容では、必要な調査を行わず( 主に大企業)、行ったように偽装もしているということで大きな波紋を呼んでいます。

このため、これを利用した雇用保険の 失業等給付などが「過少給付」となっているようです。

 

 

毎月勤労統計調査とは

 

毎月勤労統計調査

 

毎月勤労統計調査は、雇用、給与及び労働時間について、全国およびと都道府県ごとに毎月の変動を調査して公表しているものです。

元となる調査は大正12年から始まったというから、大変古くから続く大事な調査となっています。

調査は毎月末現在として行っています。

 

調査対象

 

調査対象は、従業員30人以上の「第一種事業所」と従業員5~29人の「第二種事業所」があり、それぞれ 標本調査(正確な推計が可能な量の事業所を選抜する)によって行っていますが、 500人以上の会社については全数調査をすることになっています。

 

事業内容、操業日数、従業員数、性別、出勤日数、労働時間、給料、時間外手当、賞与などを調査します。

 

調査方法

 

第一種事業所に対しては都道府県の統計課が郵送で対応し、第二種事業所に対しては統計調査員が訪問によって対応しています。

 

統計調査員は、期限付きで任命され、その期間は公務員としての身分を有します。

 

 

毎月勤労統計の利用

 

基幹統計調査

 

国の統計調査には、各種の分析に必要な、重要な情報を調査した 基幹統計調査と、それ以外の 一般統計調査があります。

基幹統計調査には、その重要性に鑑み、正確さを担保するために「報告義務」「かたり調査の禁止」などの特別な規定が置かれています。

 

毎月勤労統計調査は、もちろん基幹統計調査です。

 

期間統計調査は全部で56あり(2019年現在)、その他の期間統計の例は下記のようなものとなっています。

  • 内閣府・・・国民経済計算
  • 総務省・・・国勢統計、家計統計、産業連関表、人口推計など
  • 財務省・・・法人企業統計
  • 国税庁・・・民間給与実態統計
  • 文部科学省・・・学校基本統計など
  • 厚生労働省・・・医療施設統計、社会保障費用統計など
  • 農林水産省・・・農林業構造統計など
  • 経済産業省・・・工業統計、商業統計など
  • 国道交通省・・・港湾統計、建築着工統計など

 

毎月勤労統計を利用している例

 

  • 内閣府の月例経済報告
  • 労災保険の休業補償給付の補償額
  • 雇用保険の失業等給付(基本手当など)の算定の際の賃金日額の範囲、上限・下限
  • 最低賃金の決定(議論の際の参考資料として)
  • 人事院勧告(国家公務員の給与決定の参考となる)

 

不適切調査について

 

不適切調査について、厚労省の発表と報道内容をまとめておきます。

 

不適切調査の内容

 

従業員500人以上の事業所は全数調査のするというのが決められたルールであったはずが、東京都内で該当する約1,400事業所について、3分の1程度しか調査していなかった、とのことです。

不適切調査は2004年から始まり、15年にわたり行われたとのことです。2003年7月に部長名でマニュアルを都道府県に送付し、東京都で全数調査ではなく抽出調査に切り替えることを通知していました。ただし、本来は総務省への申請が必要であったのに、これを怠ったことが大きな問題となっています。

マニュアルに当初あった、「全数調査は必要ない」というマニュアルを作成は、2014年にはその箇所の削除が行われてたようです。

また、不適切調査を偽装するためのソフトまで作成していたというから、問題大ありです。

 

2018年1月分からは、本来の全数調査へ近づけるために、ひそかに修正が行われていた、という報道もあります。そのため、2018年の平均給与額が前年に比べて不自然に上昇していたようです。

2018年の賃金が前年比上昇したとの発表は誤りで、どうも公正に計算すれば前年比マイナスになりそうな様子です。

 

 

2004年から2011年の分は、データがすでに廃棄され、統計の修正が不可能なようです。

 

※これ以外にも少なくとも1996年以降は、公表している資料の9割程度しか調査していなかったようです。

 

統計法違反

 

統計法では、基幹統計について調査対象などの変更がある場合には総務省に申請をしなければならず、厚生労働省はこの報告をせずに変更をしてしまっていた、とのことです。

違反には50万円以下の罰金または6か月以上の懲役が科せられる可能性があります。

 

22日には、歴代幹部22人が処分を受けています。

 

24日の発表では、毎月勤労統計調査だけではなく、56のp基幹統計のうち、他省庁分も含めて22統計で不適切事案があったとのこと。

 

雇用保険や労災保険への影響

 

大企業のほうが中小企業よりも賃金水準が高いというのは、常識とも言えることです。

大企業への調査数が少なくされていたということは、日本の平均給与額と推計されていたものが 少なく計算されていた、ということになります(全数調査に近づけるための修正もされていなかった)。

ということは、これに基づいて支給されていた雇用保険の基本手当なども少なく支給されていた、ということになるのです。また、労災保険における休業補償給付についても同様です。

修正の対象は2012年以降で、現金給与は最大で1.2%の上方修正がされます。

 

厚労省ではこれらを遡って支給する予定ですが、その支給対象は雇用保険で延べ千数百万人で金額が276億円、労災保険で延べ数十万人で金額が241億円となっております。また、船員保険でも16億円、雇用保険の助成金関係でも30億円あります。これらの金利や事務費も含めて795億円が必要とのことです。

 

雇用保険については現在受給中の約80万人には3月~10月に追加支給される見込みです。船員保険は4月から、労災保険は6月から受給中の方ら追加支給される予定です。

過去の受給者については、雇用保険については所在や口座の確認を行い11月ごろになる見込みのようです。労災保険は9月から、船員保険は9月からの見込みです。

 

その他

 

人事院勧告にも使用されていたため、国家公務員の給料や、地方公務員の手当などにも影響があり、これらにも追加支給が必要なようです。